1: | あなたの内臓脂肪は大丈夫ですか?--(大島内科小児科:大島健一 那須郡市医師会長) みなさんは内臓脂肪が様々な生活習慣病を招くメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)について何か取り組んでいますか.この状態を放置しておくと動脈硬化がすすみ脳卒中や心筋梗塞を発症しやすくなります.このメタボリックシンドロームの判断基準には、腹囲(お臍の高さ)が「男性85cm以上」、「女性90cm以上」となり、さらに血圧、血糖値、血中脂肪のいずれか二つが上昇すると該当してきます.メタボリック症候群予防の対策は内臓脂肪の脂肪燃焼と蓄積防止が大切です.次のようなことにこころがけてみましょう.
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2: | 痛みと帯状疱疹--(塚原医院:塚原純雄) 痛みは、人それぞれ感じ方が違います.すなわち個人の感覚であり精神的なものすべてを痛いといっていいでしょう.しかし、痛みから解放されたいと思うのは誰しもが同じであり、痛みが現れたときは、それを避けようとするあるいは保護しようとする訳ですから一つの警告信号といってよいのではないでしょうか. 痛みには、経過から急性痛と慢性痛がありますが、帯状疱疹は、時にその両方が存在する可能性がある病気です. 帯状疱疹とは、子供の時にかかった水痘(みずぼうそう)のウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、神経の付け根に残っていて体調が悪いと活性化されて、1本の神経の領域に沿って3~5日位で皮膚の表面に現れ、最初は赤い皮疹が出現し、1~2日位で水膨れを作ってきます.皮膚に出来る前から、痛みが出現することが多く、痛みの強さはいろいろです.一般的に激しいことが多く、痛みの範囲は、片側性で帯状なので他の病気と区別がつくことが多いです.帯状疱疹後神経痛といって、治療が遅れたり、高齢者では皮膚が良くなっても痛みが何年も残ることがあります.出来るだけ早期の治療と初期から積極的な痛みに対する治療が必要です. |
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3: | あなたは”かくれ糖尿病”ではありませんか?--(なすのクリニック:渡邉敏郎) 2002年の厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる人は740万人に達し、増加の一途をたどっています.その分、合併症でつらい思いをする患者さんも増えております.糖尿病は三大合併症(腎臓、網膜、神経の障害)だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の大きな危険因子となります.また自覚症状に乏しくしらないうちにかなり進行してしてしまう油断のならない病気でもあります.合併症を防ぐためには糖尿病を見逃さず、できるだけ早く治療を開始することが重要です. 糖尿病は早朝空腹時(朝食を摂るまえ)の血糖値が126mg/dl以上で診断されます.110-125mg/dlは境界型(予備軍)、110mg/dl未満は正常として扱われますが、この境界型の三割はすでに糖尿病である可能性があり、正常型の中にも糖尿病特有の合併症をもっている人が見受けられます.この”かくれ糖尿病”を診断するには、「ブドウ糖負荷試験」が不可欠です.75gのブドウ糖を飲んでその後の血糖値上昇を見るものです. 同試験で二時間後の血糖値が200mg/dl以上を糖尿病、140-199mg/dlを境界型と診断します.みなさんは”かくれ糖尿病”を持っていないでしょうか.空腹時血糖が110-125mg/dlの人、以前に境界型と言われた人、家系に糖尿病患者がいる人、内臓型肥満と言われた人、4000以上の巨大児を出産したことのある人はブドウ糖負荷試験を受けることをお勧めします. |
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4: | ピロリー菌--(立花医院:立花隆司) ヘリコバクター・ピロリー菌(ピロリー菌)は、人間の胃の中にすむ細菌です.25年前に発見され、発見者のバリー・マーシャル教授とロビン・ウォーレン博士には、2005年のノーベル医学生理学賞が授与されました.マーシャル教授は日本のテレビ・コマーシャルに出演されておられますので、ご存知の方も居らっしゃるかと思います. この菌の感染は、慢性胃炎から胃がんへの連鎖に密接に関連していることが指摘され注目されており、特に日本・中国・韓国の人々に感染する菌は強いリスクになると言われております. ピロリー菌に感染しているかどうかは血液検査で判ります.抗体の疫学調査によると、日本では40歳台から感染率が高くなります.先進国では50歳代からですが、開発途上国では10歳代で既に高率ですので、菌は乳児期に経口感染するとする説が優勢です. 感染方法は家族内感染・母子感染・同胞内感染が言われておりますが特定されてはおりません.胃のほかの病気との関連では、特発性血小板減少性紫斑病、慢性蕁麻疹、小児期の鉄欠乏性貧血の関連性が挙げられております.最後に、感染診断と治療についてですが、一番簡単な診断法は血液検査でピロリー菌に対する抗体を測定することです.治療は、プロトンポンプ阻害薬と、ペニシリン・クラリスロマイシンという二種類の抗生物質の、併せて三薬剤を一週間内服して退治します.この検査と治療は、医療機関で胃・十二指腸潰瘍と診断されたとき以外には健康保険が使えませんので、充分な注意が必要です.詳しくは各医療機関に相談して頂ければ幸いです. |
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5: | 那須の名物はきれいな空気と大地--医師会は禁煙運動を推進しています | ||||||||||
(渡部医院:渡部和彦 黒磯・那須地区医師会長) | |||||||||||
昨年、オーストラリアの禁煙活動家マーク・ギブンズさんが当地を訪れた時に、彼は”喫煙することは、「ゆっくりとした自殺」”と表現していました.喫煙が健康を害することは誰でも知っていることです.肺癌をはじめ、ほぼ全身の癌のリスクを上げること、慢性閉塞性肺疾患の危険性を高めること、細動脈を収縮させることにより心筋梗塞・、脳卒中、下肢動脈閉塞症を増加させること、など、、、.最近、厚生労働省が喫煙は寿命を3.5年短くすると発表しましたが、健康で過ごせる年数を激減させることは間違いがないことですから、3年位の短くなるくらいならすい続けようとは考えないで下さい. 喫煙が大人の仲間入りと思っていた時代と今は変わりました.単に嗜好の問題ではすまない根拠とデータがある以上、私は喫煙はやめるべきであると思います.健康が素晴らしいことであると教えるべき教育者、従業員の健康を守る会社のトップ、市民の健康を守る議員の方達から、率先して禁煙活動の輪に入って、禁煙を推進して頂きたいと思います. 禁煙したいのだけれど意志が弱くてやめられないと言う方、それは意志だけの問題ではなくてニコチン依存症という病気になっているからです.禁煙をしていたいのだけれどできないという方は、是非近くの診療所、病院で相談してください.遅すぎる禁煙はありません.それでも喫煙する方は、せめて非喫煙者、とりわけ子どもたちの前では吸わない、吸いがらをポイ捨てしないという最低限のマナーだけは守って頂きたいと願っています. |
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6: | 小児救急病院の危機 | ||||||||||
(大島内科小児科:大島健一 那須郡市医師会長) | |||||||||||
幼い子ども達は、どのように具合が悪いのか、具体的に伝えられません.いつもと様子が違う、変だと少しでも感じたら、日中に「かかりつけ医」を受診してください.日中であれば、医師・看護士をはじめ医療スタッフがそろっているので最善の診断・治療を受けることが可能です.これが初期医療(一次救急)です. 私たち医師は、小児科をはじめあらゆる疾患について教育をうけ、診断・治療を経験しています.もし、精密検査や入院治療が必要と判断すれば、しかるべき小児専門医がいるところに紹介します(二次~三次救急).診断や治療が行われた後、病院から詳しい返事が紹介した医師に届けられ(病院連携)、その後の医療に役立てられることになります. 病院の医師は、日中多くの子どもさんを外来で診察し、また入院中の患者さんの検査や治療を行っています.そして当直があり、重症の救急患者さんが来院すれば、その治療に一時も目が離せなくなります.この様な状況にある時に夜間(時間外)に比較的軽症の人たちが多数来院されますと、とても充分な対応ができません.それでなくても病院の小児科医が少ない現状ですから、医師は精神的にも肉体的にもまいってしまい、最悪の場合には医師自身が身体を壊し、病院に小児科医がいなくなってしまう恐れがあります. このような事態を避けるために、私たちは休日・祭日の日中は、各医療機関が交代で診療を行い、更に夜間は、「黒磯那須地区休日等急患診療所」で休日・祭日と金曜日に、「大田原市休日等急患診療所」で休日・祭日と木曜日の夜間に、初期救急医療を行っております. さらに黒磯地区では、緊急避難的に6月から月曜日に、8月中旬以降は火曜日と水曜日に、医師会員の善意により夜間の初期救急医療を行う予定であります. また地域中核病院では、電話相談も行っております.日頃から何でも相談できる「かかりつけ医」を持ち、早めの受診を心がけて、通常の診療時間内に受診されますようご協力をお願い致します. |
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7: | 小児の頭しらみ--(立花医院 立花隆司) | ||||||||||
年度始めは保育園や学校から何らかの治療カードをもらう機会が増えます.今回は頭しらみについてです.人に寄生するしらみは頭しらみ・毛じらみ・衣しらみの三種類ですが、問題となるのは頭しらみです.というのは家庭や保育園・学校等で集団発生することがあり、健康診断でも見つからないことがありますので注意して頂きたいと思います. |
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8: | 古くて新しい感染症「結核」--(三森医院 高梨 薫) | ||||||||||
結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす病気です.結核患者の咳などで結核菌が飛び散り、周りの人がそれを直接吸い込むことで感染します.ただし、結核に感染しても必ず発病するわけではなく、通常は免疫により結核菌の増殖を抑え込みます.免疫により結核菌の増殖を抑えきれなくなると結核を発病します.また、早期の患者、重症患者でも薬を飲み始めて間もなく、結核を人にうつす恐れはとても低くなります 結核は、かつて国民病としてとても恐れられていました.それが、戦後、抗結核薬(結核に効く薬)の開発、生活の向上、国の結核対策の徹底等により急激に結核を減らすことができてきました.それでは、もう結核は過去の病気で心配ないんじゃないかと思われる人が多いと思いますが、果たしてそうでしょうか?実は、結核は今でも1日に80人の新しい患者が発生し、6人が命を落としている日本の重大な感染症なのです.つまり、全くの過去の病気ではないと言うことです.今結核に関して日本で問題となっているのは、結核にかかったことのあるお年寄りの再燃(押さえ込まれていた結核菌が元気になって症状が出てくること)、若い人での結核の集団発生(自然に結核にかからない若い人が結核になると周囲の人も結核になり集団で感染すること)です.また、世界ではHIV感染者(症状が出るとエイズとなる)が結核に感染することが問題になっています.日本でもHIV感染者が徐々に増加しており問題となることが予想されています.更に、抗結核薬の効かない結核の発生も頻度は低いですが問題となっています. このように、結核は過去の病気ではなく現在も注意すべき病気なのです.それでは、どういったことを注意したらよいのでしょうか? まず第一に、予防が大切です.特に抵抗力の弱い赤ちゃんは、結核に感染すると重症になりやすく、生命を危ぶむことすらあります.結核を予防するためにBCG接種を受けましょう.現在、赤ちゃんへのツベルクリン反応検査は廃止され、BCGは直接接種となっています.一生のうち一度だけの機会です.生後6ヶ月までに受診しましょう.(ただし、生後3ヶ月以降の接種が望ましいと言われています.) 第二に早期発見です.二週間以上続く咳や痰があるときは、結核の可能性を考え病院を受診してください.また、お年寄りでは、二週間以上続く咳や痰の他に原因がはっきりしない疲れやすさや微熱が続くことなどがある時は注意してください.特に、以前に結核にかかったことのある方は二週間以上続く咳や痰などの症状があるときはできるだけ早く病院を受診するようにしてください.早期発見は本人の重症化を防ぐだけではなく、大切な家族や職場等への感染の拡大を防ぐためにも重要です. 第三に治療ですが、結核と診断されても、最短6ヶ月間毎日きちんと薬を服用すれば治ります.しかし、症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を止めてしまえば治りません.それどころか、菌は耐性菌となり、時には薬がほとんど効かない多剤耐性菌になることもあります.決められた薬をきちんと服用することは非常に大切です.最後に、一番大切なのは結核という病気が過去の病気ではないということに気づいてもらうことが大事なのです.もしも、今述べたような症状がある人は、かかりつけ医で診察してもらうようにしてください.きちんとした治療を受ければ治る病気でもあるのですから. |
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9: | めまい--(大柿耳鼻咽喉科医院 大柿 徹) | ||||||||||
めまいは体のバランスをとる仕組みのどこかに異常があると起こります.めまいの病気で一番多いのは耳の異常によるめまいです.ふらつきやぐるぐる回る回転性のめまいの場合、さらに耳鳴りや聞こえが悪いといったほかの耳の症状が同時に認められる場合には、内耳の疾患の可能性があります. 脳の近く、耳の一番奥にある内耳には、前庭、三半規管といった平衡感覚神経が集まった器官があります.この前庭と三半規管は左右一対で働き、体の位置や動きを感じ取るセンサーの役割をしております.どちらか片方の耳に炎症が生じた場合、あついは血液の流れが悪くなるといった循環障害が生じると、左右の内耳のバランスが崩れ、脳に正常な平衡感覚の情報が伝わらなくなります.その結果、眼振といって眼球が勝手に回転しはじめ、めまいがおこります. 耳鼻咽喉科ではこの眼振を観察し、さらに聴力や体のバランスを測定し、めまいを診断します.代表的な病気としてはメニエール病や良性頭位性めまい症があります. 内耳の病気以外では、脳出血や脳梗塞などの病気でもめまいが生じます.この場合は、激しい頭痛があり手足がしびれたり呂律が回らなくなったり、あるいは意識障害を伴うことが多く、めまいにこういった症状が伴う場合には、急いで神経内科や脳外科を受診する必要があります. さらに、脳の血液の循環に異常を生じやすい高血圧症、低血圧症や不整脈などの心臓病がめまいの原因になることがありますので、このような持病をお持ちの方はかかりつけの内科を受診することも必要です.また急に視力が低下してメガネが合わないといった視力の障害でもめまいを生じる場合がありますので、この場合は眼科を受診してください. このようにめまいの背景には様様な病気がひそんでいる可能性がありますので、早めに検査を受け診断に応じた治療を受けることをおすすめします. |
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10: | 成長期におけるスポーツ障害--(塚原医院 塚原純雄) | ||||||||||
スポーツによって起こる体の故障には、外傷と障害があります.外傷とはスポーツ中に大きな力が一度に加わり、そのために生じたケガ(捻挫、疲労骨折を除く骨折)のことで原因発生もたいていは明らかです. ところが障害とは、一般に使いすぎ、無理な使い方が原因であり、ストレスが繰り返し加えられ疲労が蓄積して痛みなどが起こることです.それによって筋肉や腱の炎症、ひどくなると疲労骨折や剝離骨折を生じます.しかし、それらは未然に予防することが可能です. 子どもの体は、特に成長期の場合1年に7-8cm平均して身長が伸びます.それは、成長期には柔らかな成長軟骨があるからです.そのため骨の伸びに筋肉の発達が追い付けなくなり、骨の両端に付いている筋肉が引っ張られ弓のように張った状態となるのです.その筋肉が付いている部分が成長軟骨になっており、そのような時期に大きなストレスがかかると炎症を起こしたり少しずつ剥がれたりするのです.よく耳にする野球肩、野球肘、オスグッド病(膝の下の部分の疼痛)などは成長軟骨と関係するのです.また、そのころの子どもたちはこのような訳で筋肉の進展が悪く体の柔軟性にも欠けるのです。 それでは、スポーツ障害を少しでも予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
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11: | 「Time is Brain」--(那須脳神経外科病院 深町 彰 大橋康弘) | ||||||||||
今回は「t-PA」について説明させて頂きます. 「t-PA」は組織プラスミノーゲン・アクチベーター(tisue plasminogen activater;t-PA)といい血栓を溶かす薬剤で、脳梗塞の治療薬として2005年10月に国内承認され使用可能となりました.マスコミにも取り上げられ、多くの方に周知されているやる剤です. 脳梗塞は脳の血管が血栓により閉塞し、脳組織が壊死します.それにより脳の機能が永久的に障害され、半身麻痺や言語障害、高次脳機能障害などが後遺症として残存する病気です.現在のところ、脳は再生することなく脳の形成が完成した成人では、壊死した脳の機能を代償することも困難です.また、脳梗塞自体を治す、元に戻す薬剤も現在のところありません.何らかの原因で脳の血管を閉塞させた血栓を早く溶かし、脳血流を再開させ後遺症から免れることが期待できる薬剤です. しかしそれには、時間が最も重要です.脳の血管が閉塞し脳が壊死してしまっては、血流が再開しても脳は元に戻りません.血栓が形成されてから血栓を溶かし、脳血流を再開させるまでの時間が重要です.すなわち、「t-PA」の治療開始までの時間がいかに早いかが重要です.脳梗塞を発症し、「t-PA」の治療開始が遅ければ脳は壊死しますし、血栓が強く固まり血栓を溶かすことも難しくなります.また血栓が溶けて脳血流が再開しても、「t-PA」の治療開始が遅ければ出血を起こす危険性が高くなるからです.それゆえ「t-PA」は、発症して3時間以内しか使用できません.「t-PA」を使用するにあたって患者さんのデータ収集(主にCTscan、MRIや血液検査)や、患者さんや家族の説明などが必要になり、それに約1時間かかります.すなわち発症して2時間以内に病院に到着していなければ「t-PA」が使用できない可能性が高くなります.「t-PA」は国内承認されて以来有名になっているにも関わらず使用された症例が少ないのは発症から来院までに時間がかかっているケースが多かったからです.従って半身麻痺、言語障害などの脳梗塞が疑われる症状がみられたら、救急車を呼んですぐに脳神経外科を受診することが大切です.わずかな時間の差で、後遺症が軽くなることが期待できるわけですから、そのほうが賢明だと思いませんか?「Time is Brain」です. |
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13: | 健康って何でしょう?--(中川医院 院長:中川良英) | ||||||||||
健康ってなに?そう聞かれたら皆さんは何と答えますか?一般的には「からだに病気がなく丈夫なこと」、子供なら「学校を休む事もなくいつも元気で走り回っていられる事」でしょうか.「健康食品」、「健康器具」、「健康に関するテレビ、ラジオ番組」見渡せば健康って言葉はあふれていますし、健康についての関心は高まっているようです.しかし、改めて聞かれると困る人も多いかもしれません.私たち医者から考えるとやはり心身共に病気がない状態と言えるでしょう.私たちの仕事は主に病気になってしまった人ができるだけ元の健康な状態に戻れるようにお手伝いする事でしょう.
ここでもう一度元に戻って健康って?定義を考えると世界保健機関憲章の前文にある「>身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない.」となるようです.こうなると医者は単に病気を治すだけでは、その人を健康にした事にはならないのかもしれません.皆さんは病気になったらお医者に行って治してもらえば良いって考えがちなように思いますが、如何でしょう?昔の赤ひげ先生の様になれれば、身体的にも精神的にもそして社会的にも治せるのかもしれませんが、それには、患者さんとお医者さんの信頼関係が非常に重要に思えます.最近の医療の現場ではその一番大元の重要な部分が上手く行かない事が増えているようです.原因はいろいろあるでしょうが、これからの日本の医療を今より悪くしない為には、皆がそこに立ち返る必要があるように思えます.これは医師と患者の関係だけではなく、全ての社会の中で人と人の繋がりをもっと大事にする事といえるのではないでしょうか?改めて考え直す時期の様に思えます. 自分の健康を守ることはとても大切です.今の日本にはその為の道具はたくさん揃っています.でも、どんなに身体を健康にしようとしても、社会が健康でなければ、誰も本当の健康を手にする事はできない様に思えてなりません.自分だけでなく、互助の精神で皆が健康でいられる社会になって欲しいと思います.まずは小さな社会から、この地域が健康になるためにみんなで考えてみませんか. |
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