予防接種QA

1:予防接種対象疾患の重症度は? 6:アレルギーに関連する事項について?
2:効率的な予防接種の受け方は? 7:予防接種を受けられない病気について?
3:風邪をひいている時の予防接種? 8:注射後の諸問題
4:家族の伝染性疾患罹患時の予防接種は? 9:外国人の方の接種について
5:けいれんと予防接種の関係について? 10:海外へ長期滞在する場合の予防接種

1:予防接種対象疾患の重症度は?
重症度 疾患名又は病名
致死的---重度の後遺症を残す           :  痘瘡、日本脳炎、ポリオ、破傷風、ジフテリア
重症感染-深刻な合併症を伴うことが多い: 百日咳、麻疹、インフルエンザ、結核
中等症---時に深刻な合併症が伴う       : 風疹、おたふくかぜ、水痘
2:効率的な予防接種の受け方は?
BCGとポリオを生後1年内に受けられば、他のワクチンは問題ないと思われます.では忘れた場合.年齢にもよりますが、先ず麻疹.次いで三種混合DTP1回目.次いで水痘(任意)、DTP2回目.次いでおたふく風邪、DTP3回目.次いで風疹(任意)を優先して接種.BCGとポリオを最後にしてください.接種期間は充分注意してください.
不活性化ワクチンの場合
・インフルエンザ
・日本脳炎
・三種混合DPT
・二種混合DT
・ジフテリア
・破傷風
・B肝炎ワクチン
・子宮頸がんワクチン
・ポリオ(不活化)
・小児肺炎球菌ワクチン
・成人用ジフテリア
不活性化ワクチンを接種したら、
次の接種は、6日以上空ける.
(ワクチンの種類に関係なし)

前回のワクチンが不活性化ワクチン
なら、6日以上経っている事.
生ワクチンだったら、27日以上待つ.
生ワクチンの場合
・MRワクチン
・麻しん
・風疹
・おたふくかぜ
・水痘
・黄熱
・BCG
・ポリオ
・ロタウイルスワクチン
生ワクチンを接種したら、
次の接種は27日以上空ける.
(ワクチンの種類に関係なし)


前回のワクチンが不活性化ワクチン
なら、6日以上経っている事.
生ワクチンだったら、27日以上待つ
3:風邪をひいている時の予防接種?
風邪の罹り始めは、今後の予想ができませんので接種はしない方が良いでしょう.それがやや重い風邪であれば改善後2週間は避けてください.伝染性疾患の場合は改善後4週間は接種できません.
では、軽い風邪で熱も無く、洟と咳が続く場合は?この時は充分な診察を受けて下さい.通常37.5℃以上の発熱や、扁桃腺・リンパ腺の炎症が無ければ接種可能とおもわれます
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4:家族の伝染性疾患罹患時の予防接種は?
家族が伝染性疾患に罹っている場合で、接種者に症状が無い場合.これは本人が該当疾患の潜伏期にあるか感染していないか不明の状態です.接種前の診察で問題なければ接種可能です.但し、接種後に症状が出現した場合は、接種ワクチンが生ワクチンの場合は、その効果が充分現れない事が予想されます.場合により再接種が必要なこともあります.その意味で、家族が罹患している病気と同じワクチン以外の接種は避ける場合もあります.
5:けいれんと予防接種の関係について?
けいれん性疾患に関しては「熱性けいれん」と「てんかん」とに分けています.今回の改訂で「1年以内にけれんを認めた場合」は「接種要注意者」となりました.要注意の内容が問題ですが、先ず小児専門医に受診中の方は主治医の承諾を頂いてください.けいれんが予防注射によって惹き起こされたか否か、判断することが難しいためです.
熱性けいれんは、単純型で初回発作から6ヶ月以上発作の無い場合は、基本的に接種します.但し問診の時に、単純型か違うのか区別がつかないのが現状です.従って以下の点について、明記する事が必要です.
1:生後6ヶ月以上で5歳未満での発症.
2:初回発作は15分以内で、以後けいれんなし.
3:発育障害及び神経的異常が無いこと.
1.2.3に当てはまる場合は接種が可能と考えます.当てはまる場合は、専門医の診察を受けてご相談下さい.接種に際しては、発熱、痙攣の対策をたてておくことが望ましいのです.特に麻疹の予防接種は接種後の発熱に注意が必要です.私はポリオ、BCGはなるべく接種したいと考えています.
てんかん治療中の場合は、基本的に1年以上発作の無いこと又は、安定していることが条件ですが、特殊な治療をしている場合もありますので、主治医のところで個別接種をして頂いて下さい.けいれんの対策は必ずしておくこと.
6:アレルギーに関連する事項について?
重症のアルルギー疾患がある児は、基本的に皮内テストを行うことが望ましいので、出来るだけ主治医と相談し個別接種して下さい.予防接種薬精製の問題で鶏卵白やゼラチンのアレルギー検査(IgE RAST)を受けて下さい.下記以外のワクチンでは鶏卵を通常食べている方は問題ありません.アレルギー疾患で抗アレルギー薬を内服している方は検査や接種の前日は内服しないで下さい.花粉症のある方は、流行時の接種はなるべく控えてください.特に注意を要する予防接種は
卵アレルギー インフルエンザ、黄熱ワクチン.
ゼラチンアレルギー 全てのワクチン (ワクチンのゼラチン含有を確かめて下さい)
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7:予防接種を受けられない病気について?
病気自体ではなく、治療により予防接種ができない場合があります.治療としてはステロイド薬、免疫抑制薬、ガンマグロブリン療法です.病気では前期の治療を要する疾患全てですが免疫不全の状態(無脾症、HIV)では予防接種ができません.主治医とよく相談しておきましょう.
膠原病 ステロイド療法 ステロイド中止後6ヶ月にて接種可能となる.寛解期の少量ステロイド維持療法の時は、免疫能の回復を検査してから.但しBCGは不可.
糸球体腎炎
ネフローゼ症候群
川崎病 大量ガンマグロブリン治療 治療後6ヶ月迄は、麻疹・風疹・ムンプス・水痘は不可.他のワクチンは可能
血小板減少性紫斑症
8:注射後の諸問題
質問 答え
注射の後はもんだほうが良いか? なるべくもまないで下さい.
当日の入浴は? 入浴できます.
当日、運動しても良いですか? 当日のマラソン、水泳等の強い運動は控えてください.通常有熱期は強い運動を避けます.通常翌々日迄です.
但し、麻疹では2週間は水泳を避けてください.
接種後の副反応について? 接種ワクチンによって違うのですが、概ね2日以内の発疹・発熱、注射部位の腫脹、接種によりウイルス・菌血症になりますので倦怠感、関節痛がありますが2日以内に改善します.全身発疹・39度以上の高熱・肘関節以上にわたる局所腫脹は必ず受診してください.その他全身症状があれば受診してください.
予防接種の副反応の被害状況は、厚生労働省HPから閲覧できます.
http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/6.html
接種効果の確認は? 接種後4週以上から血液検査で確認できます(検査は自費です).
ポリオNT抗体4倍以上.麻疹NT抗体4倍以上.風疹HI抗体8倍以上.
日本脳炎HI抗体10倍以上.三種混合(各定性検査ELISAあり).
9:外国人の方の接種について
予防接種法上、母子手帳(乳幼児)、外国人登録証、予防接種台帳などいずれかで接種者を確認でき、定期接種は期間内(接種年齢)であれば可能です.
10:海外へ長期滞在する場合の予防接種
小児と・成人で異なりますし、滞在先でも異なります.旅行会社で情報を獲てからお尋ね下さい.成田空港検疫所(0476-34-2310)や関西空港検疫所(0724-55-1283)では電話での問い合わせサービスがあります.
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